会長挨拶

松原斎樹(京都府立大学)

2018年度4月から人間-生活環境系学会の会長を仰せつかりました。

本会の目的は、『人間と生活環境に関連する広い分野の知識や技術を有機的に結合し、人間-生活環境系として体系化を図り、健康で快適に活動できる生活環境の実現に努め、人々の生活の質の向上に貢献すること』(会則第2条)です。学問分野が細分化しつつある今日,細分化された分野での知見はどんどん高度化していますが,生活者が社会的な条件も含めて,日常的にどんな生活をすれば健康で快適に活動できるか,はそれほど明確ではありません。その観点からは,「広い分野の知識や技術を有機的に結合する」という本学会の使命は極めて重要であり,本学会が上記の目的をめざして活動することは,社会貢献としても意義深いことであります。

本会は,規模は小さいのですが,学会大会である人間―生活環境系シンポジウムでは,毎年多くの発表がなされ,活発な質疑がかわされます。また機関誌として「人間と生活環境」(和文誌),「Journal of the Human Environment System」(英文誌)を発行しており,今年度はそれぞれ25巻,20巻に到達しております。また,学会賞と奨励賞の選考を行っており,毎年,すぐれた研究者を表彰して参りました。

本学会のルーツである第1回人間―熱環境系シンポジウムは1977年8月に,空気調和・衛生工学会会議室(東京)において開催されました。医学,被服学,機械工学,建築学,スポーツ科学等,多彩な分野の研究者が集まり,実り多いディスカッションがかわされ,参加者が文字通りわくわくする場でした。その後,毎年,シンポジウムが開催されましたが,毎年新たに組織される「実行委員会」が主催をしており,恒常的な学会組織は存在しませんでした。その後1994年に「人間―生活環境系」と改称して,恒常的な学術団体として新たなスタートをすることになりました。私事で恐縮ですが,第1回人間―熱環境系シンポジウムが開催された1977年に大学院修士課程の1年生であったため,その歴史的な会合に出席できたことはたいへんに幸運であったと思います。その後,本学会の前身の人間―熱環境系シンポジウムと本学会に育てていただいた身として,本学会の運営に貢献することでみなさまに恩返しができるように,可能な限りの努力をさせていただく所存です。

大学や企業の研究者を巡る情勢が厳しい中で,学会の運営を円滑に行うことには,さまざまな困難がありますが,学会の目的達成にために理事,評議員,会員のみなさまの気持ちが一つになれるように,努力をさせていただきますので,ご協力のほど,よろしくお願い申し上げます。